日常から離れ、心を癒す焚き火。
夫婦や親子で火を囲みながら普段なかなかできない話をしたり、お気に入りのお酒や音楽を楽しんだり。
そして、何をするわけでもなく、無理に話をする必要もなく、ただ火を眺めるだけで成立するのが焚き火の不思議な力でもあります。

そんな人それぞれに楽しみ方のある焚き火ですが、ナイフなどのさまざまな道具を扱い、何より「火」を扱うので、安全には十分注意しなければなりません。
ケガやヤケド、引火による火災など、安全への配慮を怠ったばかりに、楽しいはずの焚き火が大きなトラブルとなってしまっては、元も子もなくなってしまいます。

そこで、焚き火の際に想定される事故の事例を挙げ、それらをどう「予防」するかを考え、安全に焚き火を楽しむためのポイントを解説したいと思います。

今回は、まず「火災・ボヤ」「やけど」の事故例と予防について解説します。

焚き火の際に想定される事故例 その1「火災・ボヤ」

 ・くべていた薪が大きな音で爆ぜて(はぜて)赤々と燃える大きめの炭が周囲に飛び散った。飛び散った火の粉が枯れ草に引火、危うく火事となるところだった。

 ・大きめの薪をくべたところ、焚き火台がバランスを崩して倒れ、周囲の落ち葉に引火、ボヤ騒ぎとなった。

 ・走り回る子どもがランタンスタンドにぶつかり、倒れたランタンスタンドが焚き火台をひっくり返した。枯れた芝生に引火してボヤ騒ぎとなった。

実際にキャンプ場では、枯れて乾燥した芝生に焚き火台の火が燃え移り、周囲の芝と、小屋1棟を全焼した事故が発生したりしています。
このようなことにならないように、どのような予防策をとればよいでしょうか。

◯予防のポイント

①焚き火台のそばに燃えやすいものを置かない

乾いた枯れ葉や枯れ枝など、燃えやすいものが焚き火台の周囲にたくさんあると、引火の可能性があり危険です。焚き火を始める前に片付けましょう。
また、周囲に枯れ草や枯れた芝生など、片付けられない燃えやすいものがある場合には、焚き火台の設置位置を工夫したり、燃えにくい素材でできた専用の焚き火台シートなどを敷きましょう。

②焚き火台は安定しているところに設置する

焚き火台の設置場所はとても大切です。
傾斜のあるところや石が多くあるところでは、焚き火台を安定しておくことが難しいです。焚き火台をそのような状態で設置すると、少しの接触で倒れてしまったり、薪をくべた時や、くべていた薪が崩れた拍子に倒れてしまうことがあります。
出来るだけ平らな地面に、石などがある場合は少し石をよけて、焚き火台が安定するように設置しましょう。

③爆ぜづらい良質な薪を使う

薪は乾燥が不十分で水分量が多いと、爆裂するように爆ぜたり、不完全燃焼を起こし、一酸化炭素や煙を多く出します。
しっかり乾燥(含水率20%〜15%)させた広葉樹の薪は、大きく爆ぜることも少なく、パチパチと良い音をたててゆっくり燃えてくれます。
その他のキャンプギア同様、薪にも性能や品質の差があり、選ぶ薪によって焚き火の快適さは違ってきます。そう考えると、薪も単なる燃料ではなく、「キャンプギア」なのではないかと思います。

④焚き火台の周りにランタンスタンドなどの倒れやすいものを置かない

子どもがはしゃぐのを止めさせるのはなかなか難しいもの。
万一のことを考え、焚き火台を倒してしまう可能性のあるものを周りに極力置かないことが大切です。
ランタンなどはLEDランタンを足元に置いたり、必要のない道具は片付けてしまって、なるべく焚き火台の周りに物を置かないようにしましょう。

予防ではありませんが、万一に備えて水を入れたバケツなど、初期消火に使えるものを用意しておくのも良いと思います。

 

焚き火の際に想定される事故例 その2「やけど」

 ・くべていた薪が大きな音で爆ぜて火の粉が周囲に飛び散った。飛び散った火の粉により腕を火傷(やけど)した。

 ・夜トイレに行く際、暗くてよく見えず、焚き火台を蹴り倒してしまった。火は消えていたが、高温の燃えかすで足を火傷した。

 ・薪をくべている時に急に風向きが変わり、手を火傷した。

◯予防のポイント

①薪をくべる時などは革手袋をつけ、火ばさみを使う

焚き火の火は、突然風にあおられたり、爆ぜたりするので、薪をくべるなど焚き火に近づく際は革手袋を付け、少し距離をとって火ばさみを使うと安心です。
併せて燃えにくい素材の長袖を着たり、焚き火用のポンチョを着たりするとより安心です。

②爆ぜづらい良質な薪を使う

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③焚き火台を人の通りみちに置かない

焚き火台を設置する際、人が歩く動線上やパラコードなどのロープがある場所など、つまずきやすい所に置かないようにします。
夜中に寝ぼけていたり、少しお酒に酔っている時は、足元に注意が向かなくなります。
焚き火台の設置場所をしっかり考えて予防することが大切です。

④就寝前に燃えかすを処理しておく

焚き火台に残った炭や薪を就寝前に処理しておきます。
美味しい料理とお酒で気分が良いまま眠りにつきたいところですが、できればやっておきたい作業です。
火消しつぼがあればそれを利用して、なければ炭や薪の燃えかすを火ばさみで1つずつはさんで、水の入ったバケツに浸けて処理します。
くれぐれも焚き火台に直接水をかけたりしないでください。急激な温度変化で焚き火台が歪んでしまったり、熱い水蒸気や跳ねた炭などで火傷をしてしまう可能性もあります。

予防ではありませんが、万一火傷をした場合に備え、最低限の治療が出来る道具や薬を持っていくと良いかと思います。

いかがでしたでしょうか。

言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、実際キャンプ場に行くと色々と準備に追われ、慌ただしい中で安全を予防する取り組みを忘れてしまうことが案外あります。
楽しいキャンプ・楽しい焚き火をするために、安全への配慮は欠かせません。
ポイントを押さえて安全に楽しみ、充実した時間を過ごしてください。

次回はナイフなどの道具の安全な扱い方を解説します。

 

※ここで紹介した予防のポイントは一例です。上記のことだけをやっていれば事故を防げるものではありません。状況や環境に合わせてしっかり安全対策・事故予防をお願い致します。