代表の虎澤です。
なぜ私が西目屋村で薪づくりをしているのかについてお話しするシリーズ2回目です。
前回は西目屋村との出会いまでをお話ししました。
私の西目屋村での最初のお仕事は、森林資源を活用した木質バイオマスエネルギーの利用計画づくりをすることでした。
木質バイオマスエネルギーとは何か?
木質バイオマスとは、木を由来にした生物資源のこと。これをエネルギーとして使うのは、古くは焚き火として人間の生活に無くてはならないものでした。エネルギー革命によって石炭や石油に取って代わられてしまいましたが、焚き火の原理を現代風に工業化して再び使おう、というのが木質バイオマスエネルギーです。石炭や石油を使うよりも環境にやさしい自然エネルギーのひとつに位置付けられます。
現代風の使い方というのは、木材を工業的に燃料に加工して、それを機械で燃やしてエネルギーを得る、というものです。
さて西目屋村の場合は、森林はたくさんありますが、大部分が国有林で保護すべき白神山地もあるため、手を入れることができる資源は限りがありました。また、新しい事業を始めるには慎重な姿勢もあり、まずは小さく始めたいという考えもありました。
木質バイオマスの利用方法の選択肢としては、燃料として「チップ」をつくるか「薪」をつくるか、という検討をしていました。
「チップ」は木を細かく砕くため、機械的には扱いやすく自動化に向くのですが、製造する機械はやや大掛かりなものになり、燃やす機械も設備が割高になる傾向がありました。一方「薪」は作るにしても燃やすにしても、人手がかかるのですが機械設備は簡素なもので済む、という特徴があります。
どちらにするか、議論が重ねられましたが、最終的に「機械よりも人にお金をかけたい」という村の考えにより、「薪でいくべ!」ということになりました。なにより薪は、この地域の人たちにとっては昔から今でも暖を取るために使う慣れ親しんだ燃料であることも大きかったと思います。
「薪」という選択をしたことにより、薪をつくる場面、運ぶ場面、燃やす(焚く)場面それぞれで人力を要することが多く、人手がかかります。人手は経営的には「コスト」ですが、村からすればそれは「雇用」であり、木を使うことで雇用を生み村民に還元することができたのです。
そんなわけで2014年度に「薪でいく」という選択をし、翌2015年度から2年間の準備期間と先行して薪を作る(乾かさなきゃいけないので!)期間を経て、2017年から村の温泉宿泊施設での木質バイオマスエネルギー利用、すなわち「薪ボイラー」の運用が始まったのです。